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温度とpH を同時にセンシングできる 多機能ファイバーデバイスを開発 ~生体内プローブやウェアラブルデバイスに展開目指す~

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所
准教授 郭媛元
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 熱延伸技術(注1)を用いることで、温度や水素イオン濃度指数(pH)の変化の同時計測を可能とする超微細ファイバーデバイスを世界で初めて開発しました。
  • 熱電対技術(注2を用いた温度センシング技術と炭素複合材料とポリアニリン(注3を使用したpHセンシングともに高精度であり、生体内応用への可能性を示しました。
  • レーザー微細加工(注4と表面機能化技術(注5を使用することで、温度とpH計測技術を有したまま長時間モニタリングを可能とするウェアラブルデバイスの開発につながります。

【概要】

温度は生理学や病理学上の生体反応において重要な役割を担っており、生体システムから細胞レベルまでの化学物質の動態と密接にかかわっています。生体内部温度のモニタリング技術は進展しているものの、局所的な温度変化と体内の化学物質の変化を同時に計測する技術は開発には至っていませんでした。

東北大学学際化学フロンティア研究所の郭媛元准教授、同大学工学部の久保稀央学部生、理学部の阿部茉友子学部生(学際科学フロンティア研究所ジュニアリサーチャー)らの研究チームは、熱延伸技術を用いることで、温度とpHの同時計測が可能である超微細ファイバーデバイスの開発に成功しました。

本研究成果は、2025年3月6日付で米国化学会の学術誌ACS Measurement Science Auに掲載されました。

図1. 熱延伸技術による超微細ファイバーデバイスの実現

【用語解説】

注1. 熱延伸技術
加熱しながら熱可塑性を持つ材料を引き伸ばす技術で、ナノスケールやマイクロスケールの細いファイバーを作製するために用いられます。本研究では、温度やpHをセンシングできる多機能ファイバーの作製に活用されています。

注2. 熱電対技術
セーベック効果の原理に基づき、2種類の異なる金属を接合し、温度差によって生じる電圧を利用して温度を測定する技術です。

注3. ポリアニリン(Polyaniline, PANI)
導電性ポリマーの一種で、pHの変化に応じて電気特性が変化するため、センサー材料として用いられます。

注4. レーザー微細加工
高精度のレーザーを用いて、材料をナノ?マイクロスケールで加工する技術です。本研究では、ファイバーの長さ方向の構造と機能を精密に調整するために使用されています。

注5. 表面機能化技術
材料表面の化学的?電気化学的な性質を調整し、特定の機能を持たせる技術です。本研究では、pHセンシングを実現するために、電気化学的手法を用いてポリアニリンをファイバー電極上に重合させ、安定的なpHモニタリングを可能にするために適用されています。

【論文情報】

タイトル:Development of dual-function microelectronic fibers for pH and temperature sensing: toward in vivo and wearable applications
著者:Mahiro Kubo, Mayuko Abe, Etienne Le Bourdonnec, Sheau-Chyi Wu, To-En Hsu, Takao Inoue, *Yuanyuan Guo
*責任著者:
東北大学学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部
東北大学大学院医工学研究科 バイオファイバ医工学分野 
准教授 郭媛元
掲載誌:ACS Measurement Science Au
DOI: 10.1021/acsmeasuresciau.4c00092

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所
新領域創成研究部
東北大学大学院医工学研究科
バイオファイバ医工学分野
准教授 郭媛元
TEL: 022-795-5768
Email: yyuanguo*fris.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所
特任講師 児山洋平
TEL: 022-795-4353
Email: yohei.koyama.e2*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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